大阪市立大学の研究成果


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大阪市立大学の研究成果

光化学系U(PSU)という反応の中心部(マンガンクラスター)の物質

光化学系U(PSU)という反応の中心部(マンガンクラスター)の物質 「岡山大学」の沈建仁教授は20年以上前から「光合成」の研究に没頭し、10年以上前からは「大阪市立大学複合先端研究機構」の神谷信夫教授と同じグループで研究を続けてきました。
植物の「光合成」は最初のステップで太陽光エネルギーを使って水を分解し、次のステップで二酸化炭素を使って有機物を作り出します。
長年、「光合成」の研究者の間では、「光合成」で水を分解することに関わっている触媒としての物質が何かが最大の謎でした。つまり、この謎が解ければ「人工光合成」の実用化に大きく近づくことができると考えられていた訳です。
そこで、2人の教授は「天然でできていることが人工でできない筈は無い」という信念で研究を続けてきました。
その結果、マンガンやカルシウムが独特の形で繋がった光化学系U(PSU)という反応の中心部(マンガンクラスター)の物質が、植物が水を分解することに深く関わっていることを突き止めました。そして、PSUの立体構造を原子の配列や原子間の距離まで、詳細に解析することに成功しました。この発見には世界最高レベルの分析装置が完成したことも背景となっています。
神谷教授と沈教授のグループは、2011年に光化学系U(PSU)の構造を1.9オングストロームの精度で明らかにしたことを発表しました。世界有数の科学雑誌である「サイエンス」は、この発見を2011年の10大成果の1つと絶賛しました。

大阪市立大学人工光合成研究センター

大阪市立大学人工光合成研究センター 神谷教授と沈教授の光化学系U(PSU)の構造解明が、「人工光合成」研究の進展に大きく貢献したことは間違いありません。
更に、今後、神谷教授と沈教授のグループの分析の精度が上がれば、天然の「光合成」のプロセスが分子レベルで明らかになり、より効率的な「人工光合成」が実現できるかもしれません。そのために、大阪市立大学では新たな「人工光合成」の研究拠点として「人工光合成研究センター」を立ち上げ、2013年6月に新たな研究をスタートさせました。
現在、世界の「人工光合成」のトップランナーと言われる日本の研究陣ですが、神谷教授と沈教授のグループを中心に大阪市立大学「人工光合成研究センター」は新たな研究の核となりそうです。