植物の光合成の歴史


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植物の光合成の歴史

「光合成」解明の歴史

「光合成」解明の歴史 世界の「光合成」研究の先駆けとなったのは、1771年のイギリスの化学者「ジョセフ・ブリーストリー」の研究です。「ジョセフ・ブリーストリー」は「植物はきれいな空気を出して空気を浄化している」という仮説を立て、次の様な実験を行いました。
まず、密閉したガラス瓶の中でロウソクを燃やし「汚れた空気」をつくります。
そして、そこにハッカとネズミを入れたものとネズミだけを入れたものを用意しますと、ハッカを入れた方のネズミは生き続けましたが入れない方のネズミは数秒で気絶し死にました。この実験結果から「ジョセフ・ブリーストリー」は、「植物には呼吸で汚れた空気を浄化する何かがある」と考えました。その後、「ジョセフ・ブリーストリー」は1774年に酸素を発見し「脱フロギストン空気」と名付けました。
「ジョセフ・ブリーストリー」の発見に影響を受けたオランダの医師「ヤン・インゲンホウス」は、1779年、水草による実験から「植物の空気浄化能力には葉の緑色部分が関係しており光の影響を受ける」ことを発見しました。       
更に、1804年スイスの「ニコラス・テオドール・ド・ソシュール」が植物は二酸化炭素が無いと生きていけないことを突き止め、更に、有機物と酸素の総重量は植物が取り込んだ二酸化炭素の重量よりも大きいことを発見しました。また、「光合成」には水が必要であることを発見し「二酸化炭素+水→植物の成長+酸素」という式を導き、「光合成」の大部分のメカニズムを解明しました。
そして、1862年ドイツの植物学者「ユリウス・フォン・ザックス」は、葉緑体を顕微鏡で見たときに現れる白い粒は取り込まれた二酸化炭素に関係があるのではないかと考えました。そこで、「ヨウ素デンプン反応」を参考に、「ユリウス・フォン・ザックス」は「植物は日光が当たると二酸化炭素を取り込んで葉緑体の中でデンプンを作り、それを使って生きている」ことを発見し「光合成」を解明しました。

「太陽電池」研究の歴史

「太陽電池」研究の歴史 「光合成」は光エネルギーを化学エネルギーに変換する「光化学反応(明反応)」と、化学エネルギーから糖を合成する「カルビン回路(暗反応)」に分けられます。
従って、光エネルギーを化学エネルギーに変換する「光化学反応(明反応)」の解明には、太陽電池の研究が大きな進歩をもたらしました。
太陽電池の研究は、1839年にフランスの物理学者「アレクサンドル・エドモン・ベクレル」が「光起電力効果」を発見したことから始まります。そして、1884年にアメリカの科学者「チャールズ・フリッツ」が太陽電池の製作に成功します。
その後、1950年にカルヴィンとベンソンが植物の「光合成」における二酸化炭素固定反応の秘密を解き明かしました。
「光合成」の研究が一気に進展したのは、1956年にアメリカの化学者「ルドルフ・マーカス」が「マーカス理論」を発表してからです。「マーカス理論」は直ぐには認められませんでしたが、その後の「光合成」の研究を飛躍的に進ませる理論的基盤となり、1992年に「ルドルフ・マーカス」はノーベル化学賞を受賞します。
「マーカス理論」とは以下の様な理論です。
「光合成」の第一段階である「光捕集」の次に、電子をタンパク質からタンパク質に受け渡す「電荷分離」が起ります。この時、それまでの化学反応の常識で考えると、最初に色素分子が太陽光を吸収して電子を放出すると電子はもとの色素分子に戻る筈でした。
しかし、実際は隣の分子に移り、また、その隣の分子に移るという電子のリレーが始まります。この様な現象を「逆転領域」と呼んで理論づけたのが「ルドルフ・マーカス」の「マーカス理論」なのです。
そして、もう1つの大きな進展は、東京大学の本多健一と藤嶋昭による「ホンダ・フジシマ効果」の発表です。「ホンダ・フジシマ効果」は、酸化チタン電極を用い紫外線を照射することにより水を水素と酸素に分解することに成功しました。
現在の「人工光合成」の研究は、「マーカス理論」と「ホンダ・フジシマ効果」によって、大きく進展したことは間違いありません。