人工光合成のロードマップ


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人工光合成のロードマップ

各方面から進む人工光合成研究

各方面から進む人工光合成研究 現在、我が国の「人工光合成」研究は企業・大学・国の産学官が連携したプロジェクトが複数立ち上げられ、様々な切り口で研究を進めていることが大きな特長と言えます。
また、それとは別の企業や大学の研究機関が独自に研究を進めて研究成果を出している例も報告されています。つまり、それぞれの企業や大学の研究機関は、様々な切り口から「人工光合成」の研究を進めている訳です。
そこで、主な研究課題を「人工光合成」の前半の「明反応」と後半の「暗反応」に分けると以下の様に分類できます。
ちなみに、前半の「明反応」は光を取り込んで水を酸素と水素に分解する反応で、水素は水素から電子を取った水素イオンと電子に分けられます。これは水の電気分解と同じ反応を光のエネルギーで実現していることになります。
後半の「暗反応」は前半の反応で作られた水素イオンと電子の力で、空気中から取り込んだ二酸化炭素の中の炭素から糖を作る反応です。

「人工光合成」「明反応」研究課題
「水素製造技術研究」「酸素発生技術研究」「光半導体触媒研究」「光電極触媒研究」「固定化金属錯体研究」「増感色素ハイブリッド研究」「CO2還元研究」「水素産生生物研究」「遺伝子改良生物研究」「植物光合成模倣型システム研究」

「人工光合成」「暗反応」研究課題
「植物光合成の利用研究」「水素産生菌等の遺伝子操作研究」「バイオマス利用研究」「クリーン水素エネルギー基盤技術研究」

人工光合成研究ロードマップの実例

人工光合成研究ロードマップの実例 様々な「人工光合成」研究プロジェクトの中で、現在、最も注目されているのが、「大阪市立大学複合先端研究機構」の神谷教授と「岡山大学」の沈教授の研究グループの研究です。
2011年に「大阪市立大学複合先端研究機構」の神谷教授と「岡山大学」の沈教授の研究グループが、マンガンやカルシウムが独特の形で繋がった「光化学系U(PSU)」という反応の中心部(マンガンクラスター)の物質が、植物が水を分解することに深く関わっていることを突き止めました。
そして、「大阪市立大学複合先端研究機構」の神谷教授と「岡山大学」の沈教授の研究グループはこの成果をもとにマンガンクラスターと同じ化学構造を持つ触媒を人工的に開発し、メタノールの製造を目指しています。
具体的には2015年までに燃料電池モデルを完成させ、2020年までに製造技術を確立し2030年までにメタノール製造の実用化を目標にしています。
「大阪市立大学複合先端研究機構」の神谷教授と「岡山大学」の沈教授の研究グループはそのプロジェクトを「ハイブリッド光合成技術開発」と命名し、プロジェクトのロードマップは以下の通りです。

「大阪市立大学複合先端研究機構」の「ハイブリッド光合成技術開発」プロジェクト

基礎研究プロジェクト段階(2011年〜2013年)
@「光合成」の中核をなす、金属・タンパク質等からなる複合体の構造を解明
A解明された構造を模して触媒とタンパク質からなる複合体を合成
B太陽光エネルギーを効率よく捕集し、光反応中心まで効率よくエネルギーを伝達する機構の研究
C二酸化炭素・水素・酸素からメタノール等の合成に必要な新規触媒の研究

開発プロジェクト段階(2013年〜2020年)
@ハイブリッド光合成膜デバイスの完成
A新規触媒の技術確立
Bハイブリッド光合成モジュールの完成

実用化プロジェクト段階(2020年〜2030年)
@試験生産(実証プラント)
A商業生産(産業化)
Bアルコール系燃料(メタノール)大量生産