太陽光エネルギーの地球に降り注ぐ1時間分のエネルギー量だけで、人類が必要とする1年分のエネルギー量に相当すると言われています。つまり、1年間に人類が必要とする8,760倍の太陽光エネルギーが地球に降り注いでいることになります。
自然界の植物の「光合成」では太陽光エネルギーの1%しか利用されていませんから、「人工光合成」でその数倍のエネルギー変換効率が達成できれば人類の未来は明るくなります。
つまり、太陽光エネルギーをもっと効率的に使う技術が確立されれば、人類のエネルギー効率は飛躍的に進歩すると言えます。
その鍵を握る「人工光合成」は、太陽光エネルギーという無尽蔵な資源から酸素や有機物を作り出すことができます。また、同様に太陽光エネルギーを電気エネルギーや化学エネルギーに変換することができます。
例えば、電気エネルギーは「太陽電池」として以前から実用化されており、化学エネルギーは水素やメタノールやエチレンとして取り込むことが考えられています。
既に、実験段階では化学エネルギーを水素やメタノールやエチレンとして取り込むことに成功しています。
既に実用化が進む「太陽電池」は、光起電力効果を利用し太陽光エネルギーを直接電力に変換する電力機器として普及しています。
「太陽電池」の歴史は以外に古く「太陽電池」の原理は1839年に発見され、1884年には最初の「太陽電池」が発電に成功しています。
現在、最も普及している「太陽電池」は「単結晶シリコン型」や「多結晶シリコン型」や「アモルファスシリコン型」と呼ばれるシリコンを使った「太陽電池」で、電卓や腕時計・道路標識・街路灯・人工衛星・宇宙ステーションなどに使われています。
そして、次世代の「太陽電池」として開発段階にあるのが「有機系太陽電池」です。
「有機系太陽電池」は次世代太陽光発電システムの本命の一つとされ、大幅な低コストが期待されるだけではなく従来の「太陽電池」に比べて様々な利点があります。
「有機系太陽電池」のメリットは低コストに加えて少ない光でも発電できること、更に、軽量で設置場所の制約が少ないことが挙げられます。
既に、海外メーカーが「有機系太陽電池」の大量生産投資に踏み切っており、この分野では国内メーカーの市場参入が急がれます。
「有機系太陽電池」には、「色素増感太陽電池」と「有機薄膜太陽電池」があります。
「色素増感太陽電池」は光を吸収する色素とイオンが移動する電解質の層を持つ変り種の太陽電池で、製造が比較的簡単で無機物で構成された太陽電池よりも安価に大量生産できるところが特長と言えます。色素を変えることによって、様々な色の太陽電池を作ることができます。
また、「有機薄膜太陽電池」は文字通り有機物を用いた半導体から作られています。近年、「有機薄膜太陽電池」は開発が始まったばかりで製造が簡単で様々な色や形が実現でき、半透明やフレキシブルなものを作ることもできます。エネルギー変換効率は、まだ、3%〜5%程度ですが、室内のインテリアやおもちゃとして実用化されるかもしれません。
2013年6月、独立行政法人「新エネルギー産業技術総合開発機構」と「株式会社シャープ」による「革新的太陽光発電技術研究開発」プロジェクトは、世界高水準の集光時セル変換効率44.4%を達成した「化合物接合型太陽電池」の開発に成功しました。
変換効率の向上は太陽光発電に於ける発電コストの低減に大きく寄与しますので世界中の研究機関や企業が研究開発競争を繰り広げており、今後も変換効率の更に良い太陽電池の登場が期待されます。