人工光合成の仕組


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人工光合成の仕組

植物のクロロフィルの仕組みを模倣する

植物のクロロフィルの仕組みを模倣する 植物の細胞の中には「葉緑素(クロロフィル)」があり、「葉緑素(クロロフィル)」は光を取り込んで水を酸素と水素に分解します。
しかし、この様な植物細胞の「葉緑素(クロロフィル)」が行っている当り前の反応を人工的に再現することは非常に難しいのが現実です。
現在、「葉緑素(クロロフィル)」の中の「光吸収用ポルフィン錯体」や「酸素発生用Mn錯体」と言われる物質が、光を取り込んで水を酸素と水素に分解する重要な役割を担っていることが解かっています。
そこで、これらの「光吸収用ポルフィン錯体」や「酸素発生用Mn錯体」を人工的に模倣する研究が進んでいます。いわゆる「光触媒」の研究です。
現在、「光触媒」には「半導体光触媒」と「色素光触媒」があり、最も代表的な「半導体光触媒」は「二酸化チタン系」の光触媒です。

人工光合成の3つの反応

人工光合成の3つの反応 植物の「葉緑素(クロロフィル)」が行っている「光合成」は、大きく2つの反応から成り立っています。前半の反応は光を取り込んで水を酸素と水素に分解する「明反応」で、水素は水素から電子を取った水素イオンと電子に分けられます。そして、作られた酸素は葉っぱの表面から吐き出されます。
後半の反応は前半の反応で作られた水素イオンと電子の力で、空気中から取り込んだ二酸化炭素の中の炭素から糖を作る「暗反応」です。
従って、「人工光合成」が目指す1つ目の反応は、太陽光エネルギーを取り込んで水を酸素と水素に完全分解する反応です。つまり、この反応は植物が行っている「水の完全分解」を意味します。「水の完全分解」とは水素と酸素が2対1の化学量論比で定常的に発生する反応を意味します。
そして、「人工光合成」が目指す2つ目の反応は、二酸化炭素と水から有機物を合成する反応です。
更に、窒素と水からアンモニアなどを合成する反応は、「人工光合成」が目指す3つ目の反応と言われています。
現在の「人工光合成」の研究は植物が行っている「水の完全分解」を人工的に模倣し、植物よりもエネルギー変換効率が良い反応を目指しているのです。