植物の光合成と人工光合成の違い


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植物の光合成と人工光合成の違い

植物の光合成は2段階

植物の光合成は2段階 植物の細胞の中には「葉緑体」があり「葉緑体」の中の「葉緑素(クロロフィル)」が「光合成」を行っています。言うまでもなく動物の細胞には「葉緑体」はありません。
つまり、「葉緑体」が行う「光合成」が重要なのは動物から出る二酸化炭素を吸収して酸素と栄養素を作るという地球環境維持に貢献しているだけではなく、生物の食物連鎖の源であり生物のエネルギー源の源だからです。
そして、植物の葉っぱの「葉緑素(クロロフィル)」が行っている「光合成」は、大きく2つの反応から成り立っています。
前半の反応は光を取り込んで水を酸素と水素に分解する反応で、水素は水素から電子を取った水素イオンと電子に分けられます。これは水の電気分解と同じ反応を光のエネルギーで実現していることになります。この前半の反応を「光合成」の「明反応」と呼んでいます。そして、作られた酸素は葉っぱの表面から吐き出されます。
後半の反応は前半の反応で作られた水素イオンと電子の力で、空気中から取り込んだ二酸化炭素の中の炭素から糖を作る反応です。この後半の反応を「暗反応」と呼んでいます。
もともと、二酸化炭素は炭素を持っていますから、水素イオンと電子の力を借りて炭素を繋げ炭素がいくつも数珠つなぎになった糖を作り出しています。
この反応を「カルビン・ベンソン回路」或いは「暗反応」と呼んでいる訳です。

植物の光合成の最大の謎

植物の光合成の最大の謎 つまり、植物の「光合成」のメカニズムは、前半の「光エネルギーを使って水を酸素と水素に分解し酸素を吐き出す」反応と後半の「水素で回路を回し空気中から取り込んだ二酸化炭素の炭素を繋いで糖を作る」という反応から成り立っています。
現在、「人工光合成」の研究は後半の「暗反応」はある程度解明され人工的に再現する研究も盛んに行われています。しかし、前半の光で水を酸素と水素に分解する反応は「光合成最大の謎」と言われてきました。
しかし、2011年に「大阪市立大学複合先端研究機構」の神谷信夫教授と「岡山大学」の沈建仁教授は、植物が実際にどのような物質を使って「光合成」を行っているかを突き止めました。この物質は「マンガンクラスター」と言われる物質で酸素5個とマンガン4個とカルシウム1個の合計10個の分子から成り立っています。
この研究によって「人工光合成」の研究が大きく進んだことは勿論ですが、現在の最先端の研究で最も大きな課題は水からどうやって電子を取り出すかなのです。