「光合成」は小学校の理科の時間に必ず習いますが、その定義は「光合成生物が太陽光エネルギーを使って水と二酸化炭素から有機物と酸素を生成すること」を意味します。
つまり、「光合成」は地上の植物や海中の植物プランクトンや藻類などの光合成色素を持つ生物が、太陽光エネルギーを化学エネルギーに変換する生化学反応を意味するのです。
この様な「光合成」の定義は「光合成」の全過程を1つにまとめたものですが、「光合成」は1つの反応ではなく多くの反応から構成されています。
その反応は太陽光エネルギーを吸収して化学変化がおこる「明反応」と、その産生物をもらって二酸化炭素から糖質を合成する「暗反応」の2つの経路に大別されます。
また、「光合成」は5つの過程に分けられ、最初に植物は葉緑体にある色素分子に太陽光を集めます。この過程を「光捕集」と言います。
そして、集められた太陽光エネルギーを使って、水を分解し酸素と水素イオンと電子を生成します。「光合成」で酸素が生成されるのは、この最初のステップだけです。
つまり、このステップで生成される酸素が大気中に存在する酸素の源になっている訳です。更に、このとき生成された電子は、順々に次のタンパク質へと受け渡される「電荷分離」の過程を経て「NADPH」という物質にたくわえられます。
従って、「電荷分離」を人工的に再現し水から電子を取り出すことができれば、これを電気エネルギーとして使うことができるのです。
また、葉緑体の中の膜を隔てて水素イオンの濃度差が生じ、これによって「ATP」という物質を合成するための原動力が生まれます。
最終的に「電荷分離」によってタンパク質が作られ植物の養分となります。また、水から電子を取り出す「水の酸化」と取り出した電子を水に渡す「水の還元」を経て、電子を二酸化炭素に渡す「二酸化炭素の還元」が行われます。
この「光捕集」「電荷分離」「水の酸化」「水の還元」「二酸化炭素の還元」を、「光合成」の5つの過程と呼んでいます。
上記の植物の「光合成」は光合成色素を持つ緑色植物だけができる偉大な働きですが、緑色植物にとっては単に呼吸を行っているに過ぎません。
つまり、緑色植物は気孔から二酸化炭素を取り入れ葉脈から水を取り入れています。
そして、太陽光エネルギーによって、葉緑体の中で二酸化炭素と水から有機物が作られ廃棄物として酸素が捨てられているのです。
葉の葉緑体で生成された有機物は、糖として成長の盛んな部分や果実に送られ蓄えられます。また、根に送られてイモの様にデンプンとして蓄えられます。
そして、この過程で廃棄物として出た酸素は葉の気孔から捨てられる訳です。
従って、植物の「光合成」は太陽光が当たっていないと行われませんから、晴れた日の日中に盛んに行われているのです。
つまり、植物の呼吸である気孔から二酸化炭素を取り入れ酸素を放出する過程と動物の呼吸である肺から酸素を取り入れ二酸化炭素を放出する過程は、地球上で見事なエコロジー循環システムを作っており生命の神秘とも言えるのです。